いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションについて

私が20数年前に始めて就職した企業は、ある意味理想的なホワイトカラー・エグゼンプションが実現されていた企業だったと思う。
具体的に言うと
・作業指示者は作業内容に与えられた納期と予算を説明する。
・予定時間を超えて残業した場合でも残業手当は満額支払われる。
・作業者の評価は品質,費用対成果(個人,全体),組織協力で評価される。
・終業時間はコアタイム*1を除き基本的にフリー*2
また作業指示者には一切残業手当など払われない、評価は収益と育成のみで行われる。
すなわち、安い外部ベンダーのみを使用した方法では評価で満点を得られない事になる。
もちろん作業者の中には作業効率化ではなく、当初の予算と納期を決める段階でゴネる事により楽をしようとする人間も定期的に現れるが、それらは自然と淘汰されていった。
どうだろうか? 全てが理想的に回っていたわけではないし問題がなかったわけではないが概ね良好であった。
今騒がれているホワイトカラー・エグゼンプションの是非に関しては、各自が論ずる前提が異なっているような気がする。
「過労死は自己管理の問題」と発言*3したホワイトカラー・エグゼンプション賛成派のザ・アール奥谷禮子さんの発言は作業指示側が作業者の育成をミッションに持たないことを前提においている。
また、ホワイトカラー・エグゼンプションいよる残業手当の廃止は指示者側からの作業者の評価が単位時間あたりの成果ではなく、一定期間での成果になる。
これだと作業指示側は作業者をいつでも取替えの効く部品として使い捨てる感覚で使用しなければ自らの目標は達成できない。
作業者はそれを前提に自分で自身をできるだけ高く売る必要が出てくる。
すなわち、労働力の完全な市場競争原理の移行が行われる。
なんだ、労働力市場で商売をしている人の発言か。
すくなくともザ・アールには仕事を頼みたくは無いな。

*1:10:00-15:15

*2:事前連絡が必要。

*3:週間東洋経済 1/13