はぐれ刑事純情派

番外編
はぐれ刑事純情派


一人のハンターズが行方不明になった。
一般人の立ち入りが禁止されているラグオルでのハンターズの
失踪事件(多くの場合は死亡)はさほど珍しくは無い事件だが、
今回は今までと大きく異なる点がある。
なぜならそれはエネミーの発生しない安全地帯とされていたパイ
オニア2からの転送ゲートのある部屋で起こったのだ。
事態を重く見た総督府およびハンターズギルドは事件の究明に
乗り出した。

「みんな集まってくれ、ハンターズの失踪事件だ!
 事件の状況を説明するぞ。
 被害者はHUneweal、レベルは75前後。
 将来を嘱望されていた非常に腕利きのハンターらしい。
 事件現場はVHの坑道1地区。
 パイオニア2の転送ゲートがある部屋と思われる。
 同行者は2名、レベル60台のFOmarと40台のRAmar。」
「転送ゲート? 良くある転送ロストじゃないんですか?」
「同行者のRAmarの証言では二人が最初のブロックに移動した
後に被害者が転送されて来たのをレーダーで確認している。
その後に被害者の悲鳴が聞こえたとの事だ。」
「しかし舞台がラグオルでは我々の出番は無んじゃないですか。」
「その通りだ。しかしこのパーティのメンバーは3名。現場にパイプ
跡が残っていなかったことから、犯人はそのまま転送ゲートを使用
してパイオニア2に逃げたと思われる。
我々の仕事はその犯人足取りを掴む事だ。
A班は当日の転送ゲートの使用状況、B班は被害者の人間関係、
C班はハンターズの聞き込みに当たってくれ。
状況連絡会議は明後日の10時。
レベル80近い腕利きのハンターズを襲った奴だ、みんな気をつけ
て捜査に当たってくれ。
以上だ。」
「「「「「はい。」」」」」


==明後日、状況連絡会議==
「ではA班から頼む。」
「当日の転送ゲートの使用状況ですが、公式には軍部管轄のため
具体的な利用状況は公表できないとの事です。ゲート入り口周辺で
の聞きみですが、同日同時間帯に単独で転送ゲートへ向かったハン
ターズは多数に上りとても容疑者を特定できるような情報を得られま
せんでした。ただ、一人だけ直ぐに転送されて戻ってきた物がいるよ
うですが今のところ特定は出来ていません。」
「そうか、ではそのハンターズの特定を急いでくれ・・・続いてB班」
「被害者の氏名はキルシュ。事件当日に居住区ロビーで倒れている
所を通りすがりのHUmar発見されました。」
「なにっ、それで容態は?」
「後頭部を鈍器のような物で殴られたようで現在メディカルセンターで
精密検査中です。発見者の氏名はアル。レベル150台のハンターで
事情を聞いたところ挙動不振のため任意で引っ張って取調べ中です。」
「挙動不審?」
「はあ、“なじですか” とか “ヅロ剣” とか・・・こうどうにも会話がつな
がらないので。」
「わかった引き続き捜査を頼む。 次、C班」
「はい、ええと、ハンターズへの聞き込み状況ですが・・・・」
「そこまでだ。」
「あ、本部長」
「本件は被害者キルシュさんの無事発見と告訴取り下げにより捜査を
終結する。みんなご苦労だった。」
「ちょ、ちょっと待ってください。告訴取り下げって、傷害事件ですよ。
どうして・・・」
「被害者本人が滑って転んだと言っているんだ。」
「そんなバカな。では同行者が聞いた悲鳴はどう説明するんですか?」
「知らんよそんなことは。とにかく捜査は終了。発見者のアルさんも
丁寧に謝罪して帰宅させろ。」
「・・・・本部長。」
「ん、まだ何かあるのかね?」
「・・・・・圧力がかかったのですか?」
貴様は知らんでいい。ご苦労だった。
「本部長!」
雲の上が絡んでる。これ以上は話ん。とにかく捜査本部を解散し全ての捜査資料を焼却しろ。以上だ。



こうして、この事件はうやむやの内に幕を閉じました。
しかし事件の真相を知るものがどこかに必ず居るはずです。
そう、あなたの直ぐ近くかもしれません。

「む」